
公衆衛生ニーズの拡大に伴い、ベトナムにおける医療機器の販売事業は急速に成長しています。一方で、医療機器販売は使用者の安全に直結する特殊分野であるため、国家機関による厳格な管理が求められます。医療機器販売業許可(事業ライセンス)の申請手続きを正しく理解しておくことは、法令遵守はもちろん、市場における企業の信頼性確立にも欠かせません。本記事では、最新の法的情報をわかりやすく解説します。
1. 医療機器販売業許可(事業ライセンス)とは
医療機器の定義
医療機器とは、疾病の診断・治療・モニタリングを目的として人体に使用される機械、器具、インプラント材料、試薬、ソフトウェアなどを指します。医療機器の販売は特殊な事業形態に該当し、ベトナム国家により厳格に管理・監督されています。
医療機器の分類(現行制度)
リスク管理の観点から、ベトナム法令は医療機器をクラスA・B・C・Dの4区分に分類しています。医療機器販売は条件付き事業に位置づけられていますが、すべての区分に同じ条件が課されるわけではありません。クラスAの医療機器販売には現時点で特別な条件は設けられておらず、市場投入前に「適用基準の宣言(公表)」手続きを行えば、合法的に販売を開始できます。
事業ライセンスが必要な理由
消費者の健康を守るため、中〜高リスクに分類される機器については許可の取得が義務付けられています。とくにクラスB・C・Dの医療機器を取り扱う販売施設は、事業開始前に「販売適格条件を満たしている旨の宣言(公表)」手続きを完了させる必要があります。
許可を発行する管轄国家機関
申請書類を審査する管轄機関は、宣言の種類および機器のクラスに応じて異なりますが、原則として企業の本社が所在する省・市の保健局(Department of Health)が窓口となります。
2. 医療機器販売業許可の取得条件

組織・企業に対する条件
本分野への参入を希望する個人・組織は、医療機器販売施設が保健省の定める条件をすべて満たしたうえで運営される体制を整える必要があります。事業体は法律に基づき適法に設立されたものでなければならず、以下の要件を満たすことが求められます。
人材および専門技術責任者に関する要件
企業は、法的基準を満たす専門スタッフを配置する必要があります。具体的な要件は以下のとおりです。
- 工学、医学、または薬学の専攻で学士(大学卒業)以上の学位を有していること。
- 病院、入院設備を有する医療施設、医療機器研修機関、医療機器研究施設、医療機器製造施設、医療機器分類機関、医療機器管理機関のいずれかにおいて、医療機器技術に関する24か月以上の直接的な実務経験を有していること。
- 保健省が公布する研修プログラムに基づき、医療機器の分類能力を証明する試験を研修機関で受け、認定を取得していること。
施設および保管(倉庫)の基準
人材要件に加え、現行法では、医療機器を製造業者の推奨条件どおりに保管できる十分な面積を有し、衛生・温度・湿度の管理が確保された倉庫を、所有または賃借により確保することが義務付けられています。
輸送手段に関する要件
クラスB・C・Dの医療機器を販売する企業は、流通過程で機器が破損したり品質が損なわれたりしないよう、基準を満たした輸送手段を整備する必要があります。
3. 医療機器販売業許可の申請書類
販売適格条件の宣言書(公表文書)
法的手続きを進めるにあたり、企業は有効な書類一式を準備する必要があります。医療機器に関連する活動において中核となる書類のひとつが、所定様式に基づく「医療機器の分類/販売適格条件の宣言書」です。
人材申告書および学位・資格証明書
非常に重要となるのが、専門スタッフの能力を証明する書類です。施設は人材申告書に加え、各専門担当者の実務経験を証明する書面と、研修修了を示す学位・資格証明書を準備する必要があります。具体的な内容は以下のとおりです。
- 実務経験期間を証明する書面の原本または公証済み写し。
- 専門技術責任者の学位および研修修了証明書の公証済み写し。
施設基準を証明する書類
販売条件を満たしていることを示すため、企業は倉庫の賃貸借契約書、土地使用権証明書、または医療機器の保管施設の詳細を記載した書面を追加で提出する必要があります。
その他の関連技術文書
取り扱う品目に応じて、所管機関から取扱説明書、医療機器所有者からの委任状(認証書)、品質管理基準適合証明書など、追加資料の提出を求められる場合があります。
4. 医療機器販売業許可の申請手続きの流れ

ステップ1:必要書類の準備と提出
手続きは書類準備から始まります。クラスB・C・Dの医療機器販売を開始する前に、販売施設の代表者は規定に従って「販売適格条件の宣言(公表)書類」を、施設の本社が所在する省・市の保健局へ提出する義務があります。
ステップ2:書類の受付と審査
書類提出後、国家機関による審査が行われます。書類が完全かつ有効と確認されると、保健局は「販売適格条件宣言書類の受領書」を発行します。施設は、この有効な受領書を受け取って初めて、販売活動を開始することができます。
ステップ3:電子ポータルでの情報公開
これは企業の合法性を公的に確認するための重要なステップです。保健局は、有効な書類を受領した日から3営業日以内に、自局の電子ポータル(ウェブサイト)上で次の情報を公開する義務があります。医療機器販売施設の名称、所在地、および販売適格条件の宣言書類です。
ステップ4:合法的な販売活動の開始
規定に従って販売適格条件の宣言手続きを正しく完了させた施設のみが、クラスB・C・Dの医療機器を販売することが認められます。
医療機器販売は将来性のある分野である一方、厳格な法的ハードルが伴います。許可申請および販売条件の宣言(公表)は、企業に課された義務であると同時に、取引先や消費者から見た品質と信頼性の証明でもあります。書類準備の不備は、事業活動の停止につながりかねません。許可申請の手続きで課題に直面している場合は、時間とコストを抑えつつ確実に手続きを進めるため、専門の法務コンサルティングサービスの活用をおすすめします。
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