ベトナムの企業向けサービス市場では、現在大きな政策転換が進んでいます。2026年7月1日に施行される会計サービス業の営業条件(外資規制およびライセンス要件)の撤廃は、海外の金融グループや企業がベトナム市場へスムーズに進出するための道を切り拓く、戦略的な施策です。
東南アジアでの市場シェア拡大を目指す国際投資家にとって、今回の法改正は従来の市場参入障壁を解消し、公平で透明性の高いビジネス環境を生み出すものとなります。

1. 2026年7月1日からの法規制ロードマップの変更点
これまでベトナムにおける会計サービス業は「条件付き事業業種」に分類され、財務省が管理する厳しい専門基準を満たす必要がありました。本来の目的は財務の透明性と品質管理の維持にありましたが、結果として国際的なコンサルティング機関の直接参入を妨げる大きな障壁となっていました。
しかし、行政手続きの簡素化と財務基準の国際化を進める政府方針に沿い、ベトナムは2026年7月1日より会計サービス業の営業条件を撤廃することを決定しました。この新規定により、会計サービス業は会社設立・登記の観点で「条件付き事業」から「通常の商業サービス業」へと移行します。企業支援サービス分野に質の高い投資を呼び込もうとする政府の明確な意思表示と言えるでしょう。
2. 全体像:ベトナムにおける事業障壁撤廃の潮流
海外直接投資(FDI)の流入という大きな視点から見ると、会計サービス業の営業条件撤廃は単独の判断ではありません。投資環境を最適化し、重複する「サブライセンス(許認可)」を段階的に廃止していく政府の一貫した戦略の一環です。
近年の投資法の全体像を振り返ると、市場自由化の流れは、すでに以下のような主要セクターで具体化しています。
- 物流(ロジスティクス)サービス: 法的枠組みが大幅に簡素化されました。以前見られた不合理な最低定款資本金の規定や重複するサブライセンスが撤廃され、グローバルな物流大手がベトナム国内にネットワークを構築する原動力となっています。
- 債権買取サービス: 条件付き事業業種のリストから正式に除外されました。現在は通常の企業登記を行うだけで事業を開始でき、二次金融市場への資金流入を後押ししています。
- フランチャイズ(FC)サービス: 国内取引における商工省への複雑な登記手続きが大幅に撤廃されました。法令で定められたシステム運用期間の要件を満たすだけでよく、国際的な飲食(F&B)チェーンや小売チェーンが迅速に事業を拡大できる環境が整っています。
- 郵便・宅配サービス: 資本金やネットワークインフラに関する厳しい条件が大きく緩和されました。この規制緩和が、ベトナム市場におけるテクノロジー活用型サービスやシェアリングエコノミー(配車・配送パートナー)の急成長を支える基盤となりました。
2026年からの規制緩和ロードマップに会計サービスが組み込まれたことは、ベトナムがOECD基準に沿った開かれたサービス経済の構築に本気で取り組んでいることを示す明確な証拠です。

3. 規制緩和が外資系投資家にもたらす主なメリット
2026年7月1日以降の会計サービスに関する規制変更は、外資系企業(FDI企業)に大きく2つのメリットをもたらします。
会社設立およびライセンス取得手続きの簡素化
- 従来の仕組み: ベトナム国内の有資格公認会計士の人数を証明し、財務省から「会計サービス業適格証明書(ライセンス)」を取得するため、複雑な審査を経る必要がありました。
- 新しい仕組み: 財務省への「サブライセンス」申請手続き自体が廃止されます。計画投資局(DPI)での標準的な企業登録手続きを行うだけで事業を開始でき、市場参入までの期間(Time-to-market)が大幅に短縮され、機会損失を最小限に抑えられます。
経営陣の人事およびコーポレートガバナンスの柔軟化
新規定により、海外から赴任する経営陣(CEOや取締役など)の負担が軽くなります。法定代表者として就任する際に、ベトナムの公認会計士資格を保有する義務がなくなるためです。これにより、FDI企業は国際的な専門家を柔軟に配置できるほか、自動化された運用モデル(AIや集中管理ソフトウェア)やグローバル標準のプロセスを、行政・法的なハードルなくベトナム市場へ導入できるようになります。
※実務上の留意点:今回の条件撤廃は、サービス事業を行う「法人(組織)」に適用されるものです。顧客の財務諸表に直接署名する個人の専門家については、説明責任を担保するため、現行の会計法に基づく専門能力に関する規定を引き続き遵守する必要があります。
4. 新時代におけるベトナム会計サービス市場のポテンシャル
グローバルサプライチェーン再編の流れの中で、多くの外資系企業がベトナムへ進出しています。これらの企業は親会社への報告のため、国際財務報告基準(IFRSなど)に準拠した財務報告の高度な同期化・統一を求めています。
ベトナムが規制を緩和することで、日本・シンガポール・韓国などのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業や、会計・監査コンサルティングの大手企業が現地で会計会社を設立する際に大きなアドバンテージを得られます。クロスボーダーのシステム連携力と現地での最適化された運用コストを組み合わせることで、市場にいち早く参入する投資家は圧倒的な競争力を獲得できるでしょう。

詳しくはこちら: 外資系企業設立サービス
5. Wacontreが提供する会社設立ワンストップソリューション
ベトナムのような新興市場で新しい法規制に対応するには、現地の慣習に対する深い理解と正確かつ迅速な対応力が欠かせません。thanhlap.wacontre.comでは、国際的な投資家が最適な法人ストラクチャーを構築できるよう、包括的なコンサルティングソリューションを提供しています。
Wacontreは、初期の市場調査・フィージビリティスタディの段階から、法的書類の作成、企業登録、そして本格稼働に至るまで企業に伴走し、最新の法改正に基づいた完全なコンプライアンスをお約束します。
ご不明な点がございましたら、お気軽にホットライン (028) 3820 1213、またはご相談窓口のメールアドレス [email protected] までご連絡ください。経験豊富な専門家チームを擁するthanhlap.wacontre.comの設立コンサルティングサービスが、誠意をもってお客様をサポートいたします。(※日本人投資家・日系企業のお客様専用ホットライン:(050) 5534 5505 もご用意していますので、日本語でもお気軽にお問い合わせください。)
