会社名の変更は、事業をより大きく成長させるための重要な経営判断の一つです。しかし、いざ会社名を変更しようとすると、何から手を付ければよいのか分からないという企業も少なくありません。会社名を変更する際は、社名に関する規定や命名のルールなど、関連する法的要件を十分に理解しておく必要があります。これらを正しく押さえることで、ミスなく、かつ最短のスケジュールで会社名を変更することが可能になります。本記事では、ベトナムにおける会社名変更に関連する情報を分かりやすく解説します。
会社名とは?会社名を変更するケース
1. 会社名とは
会社名とは、企業登録証明書(ERC)に記載される正式な企業の名称を指します。会社名は企業の最も重要な要素の一つであり、設立前に慎重に検討する必要があります。会社名は、企業形態や事業分野を識別する役割も担います。したがって、事業を登録する前に、現行法に従って適切な名称を選定することが求められます。
2. 会社名を変更するケース
ベトナム語の会社名を変更する場合
- 有限責任会社から株式会社へ、またはその逆など、企業形態を変更する場合は、会社名の変更とともに、会社印の再作成が必要となります。ただし、一人有限責任会社が二人以上有限責任会社へ移行する場合のように、企業形態の変更が会社名に影響しないケースでは、会社名や会社印を変更する必要はありません。
- 会社名に新たな要素を追加するなど、社名そのものを変更する場合は、会社名の変更とあわせて会社印の再作成が必要です。
外国語の会社名を変更する場合
- ベトナム語の会社名は変更せず、外国語名のみが正確でない、またはベトナム語名に合わせて修正が必要であると判明した場合には、外国語の会社名のみを変更することができます。会社名の変更手続きは、企業の本社所在地を管轄する事業登録機関で行います。
- 外国語名のみの変更であれば、ベトナム語名は変わらないため、会社印を変更する手続きは不要です。
会社の略称を変更する場合
- 商標との整合性確保や新たなブランド名の構築など、経営上の必要に応じて、会社の略称のみを変更することも可能です。
- 略称のみの変更であれば、ベトナム語名は変わらないため、会社印を変更する手続きは不要です。
会社名を変更するための要件
1. 会社名変更の条件
会社名を変更するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 会社名は、法令の規定に従って命名する必要があります。社名には「企業形態」と「固有名称」の2つの要素を含めることが求められます。また、企業の命名禁止事項に違反してはならず、外国語名や略称についても、既存企業との混同を招くような同一・類似の名称を使用することはできません。
- 有効な事業登録書類一式を準備する必要があります。
- 法律で定められた企業登録手数料を全額納付する必要があります。
- 事業登録証明書の取消通知や取消決定を受けている企業は、事業登録内容を変更することはできません。
- 企業の解散手続き中である場合も、変更はできません。
会社名を変更する手順
1. 会社名変更の手続きの流れ
会社名を変更する際は、以下の手順に沿って進めます。
ステップ1:必要書類の準備
企業登録証明書(ERC)、投資登録証明書(IRC、投資プロジェクトを有する企業の場合)、納税者番号(該当する場合)、および変更後の新たな会社名を含む、会社名変更に必要な書類一式を準備します。
ステップ2:企業形態に応じた会社名変更申請書類の作成
- 法定代表者による会社名変更の通知書
- 会社名変更に関する社員総会議事録(二人以上有限責任会社、合資会社、パートナーシップ企業の場合)
- 会社名変更に関する取締役会会長の決定書
ステップ3:企業の本社所在地を管轄する省・市の事業登録機関に、会社名変更申請書類一式を提出します。
ステップ4:新しい企業登録証明書(ERC)を受領します(書類に不備がない場合は、追加の指示なくスムーズに受領できます)。
2. 会社名変更後に行うべき手続き
会社名の変更後は、税務当局、社会保険、銀行、通信事業者、電力会社、取引先などの関係機関へ速やかに通知する必要があります。通知を怠ると、取引先が新しい会社名を認識できず、信頼関係に支障をきたすおそれがあります。そのため、会社名変更後の重要なタスクの一つが、関係各所への変更通知です。また、会社印には社名や企業コードが含まれているため、社名変更にあわせて会社印も新しく作成する必要があります。同時に、付加価値税(VAT)インボイスについても変更手続きを行う必要があります。
以上が、ベトナムにおける会社名変更に関する留意点です。会社名の変更をご検討中の企業様にとって、本記事が一助となれば幸いです。